2010年3月30日の毎日新聞の朝刊に元気づけられる広告が載っていました。ご覧になった方も多いと思いますが、「時代のせいにしていたら、時代はこのまま変わらない」とありました。三菱地所グループからのメッセージです。
バブル経済が崩壊してから、公共劇場の管理運営に流れてくる舞台スタッフが多くなりましたが、
世界的景気の冷え込みで、なんとも元気のない舞台技術者たちの溜息と愚痴ばかりが聞こえてきます。
この業界を去って別の仕事に就いたベテランのエンジニアもいますし、見限って劇場管理運営会社から集団脱走したという話も耳にします。
雨後の筍のように次々にPA会社を開業し、はやりの機材を揃えれば仕事が舞い込んだ時代を懐かしく語る人もいますが、その人たちはバブル期に見向きもしなかった公共劇場の管理業に転身しています。
ところが、指定管理者制度を経費節減の道具にしてしまった公共施設が多く、劇場技術者の価値も下ってしまいました。
今は舞台技術者の需要と供給がアンバランスになっているので、この業界が淘汰されれば本物のプロが育つし、素晴らしい業界になると、私は考えています。
日本の伝統芸能である能楽も歌舞伎も余分な演者を養成をしていないし、アメリカのユニオンの組合員もしかりです。
日本では、弁護士も歯科医も公認会計士も無謀に増やし、そして学生不足を補うために大学の門戸を広げて修士や博士の学位の乱発で大変なことになっています。つまり、食えない弁護士、就職先のない博士などが増え続けています。
さて、全国に2,500もあると言われている劇場。(指定管理者制度などの影響で減少の傾向にありますが)
それぞれに地域の状況は異なり、運用方法も違って当たり前です。
国が拠点を作って、それを基準として日本統一をするなどとは、これまでの農業政策のようなもので、いずれ失敗します。
そこで、これまでと違った新しい時代へ進化させるため「ザ・ゴールドエンジン」という劇場運営シンクタンクを設立しました。60歳を過ぎた高技能を身に付けているシニアの底力、つまりゴールドエンジン力を使って社会に貢献しようということです。
2010年4月1日
ザ・ゴールドエンジン代表 八板賢二郎