真似をするよりも、真似をされるモノを創りたい(2010年筆)

 

日本はモノ作りの国と言われていますが、物まね国でもあります。真似をするにしても、それを使用する相手に合わせて工夫を施すのが得意です。

 

日本の古典楽器のほとんどは輸入品です。三味線も鼓も中国や朝鮮半島からからの輸入品ですが、全て日本の音に改良しています。

物まね国の悪い面もあります。ヒットしている商品をみんなで真似て価格破壊させ、みんなで苦しむのです。

だからiPodiPhoneも携帯電話も、みんなが横並びで苦心しています。テレビ番組も同じものをやり始めて食傷気味。NHKまでが若者を意識するあまり、これまでの民放番組のパクリが多くなって、NHK色が薄れてしまいました。

若者のテレビ離れが進んでいるようですが、これでは高齢者のテレビ離れも進んでしまいます。ところが、テレビ東京は以前のNHK色になって高齢者を喜ばせています。

 

クリエイターは、真似が嫌いです。ずっと考えていたものを誰かに先を越されたら、真似されたなどと悔やんでいないで、同じことを考えている人が居たのだから、自分はそれに勝るものを作ろうとします。

クリエイターは、どんどん厳しい注文が出てくるのを楽しんでいます。とてもひどい悪口も言われますが、それでもめげない。追いつめられても先をみて創っていくのです。そして、相手が 参りました というモノを作って喜ぶのがクリエイターではないでしょうか。

 

ハリウッドで映画を作るには、さまざまな規制と厳しい制約があります。俳優の起用は女性差別や人種差別にならないように、スタッフの食事にまで温かい物を食わせるようにという規則があります。ロケでは非番の消防署員と警察を一人ずつ雇わなければならないとかもあって、厳しい条件の下で世界に通用する作品を創造し続けています。

 

十数年前、韓国のサムスン電子社が米国に売り込みに出掛けてプレゼンをしたときのこと、相手社から 世界で一つだけの製品を持ってくるか、最も安い価格にできなければ、もう来るな と厳しいことを言われたそうです。その企業が今では液晶テレビなどで世界一のシェアを占め、日本を追い越してしまいました。

 

このように厳しい条件を突きつけられ、それに挑戦するのがクリエイター魂なのです。